スタジオAにて、横浜市が主催する
「Dance Dance Dance at YOKOHAMA 2015」のパートナー事業として
「吉野町アート寺子屋~ダンス編~
夏だ!踊ろう!西馬音内 日本民俗芸能体験」
ワークショップが行われました。
講師は、西馬音内盆踊り愛好会のみなさまです。
鑑賞の前に、まずは西馬音内の盆踊りに関するレクチャーをしていただきました。
「日本三大盆踊り」のひとつ、
およそ750年前からつづくといわれる、西馬音内(にしもない/秋田県雄勝郡
羽後町)の盆踊りは、「五穀豊穣祈願」と「亡者踊り」が融合したものであるとの
言い伝えがあるそうで、「音頭」と「がんけ(願化)」と呼ばれる、2つの異なる
踊りから構成されています。
「音頭」の、軽妙な地口(唄い)に、優美な踊り。
「がんけ」の、哀調を帯びたメロディと情緒ある歌詞に、軽快な踊り。
その「アンバランスさ」が、西馬音内の盆踊りの特徴のひとつであり、
魅力にもつながっているのではないか、とのことでした。
また、西馬音内の盆踊りは、衣装もまた独特で、その佇まいに目を惹かれます。
鮮やかな絹の端縫い(はぬい)衣装に、い草の編み笠をかぶるもの。
また、藍染の浴衣に、「彦三(ひこさ)頭巾」と呼ばれる、麻や綿で織られ
「目穴」が抜かれた、黒い布をかぶるもの。
夜明かりの下、何とも幻想的なことでしょう。
衣装に興味があって、今回のワークショップにご参加いただいた方も
いらっしゃったほど!
百年以上前の絹布を使用したものも少なくないという端縫い衣装。
帯は美しい刺繍で彩られ、「だらり」という京風の結び方がされています。
かがり火に映えそうな藍染の浴衣も、その多くは、各々の家で染め上げられた
2つと無いものなのだそうです。
赤・黄色のしごき(帯布)の組み合わせもモダンで洗練されていて、
とても素敵でした。
囃し方のみなさまは、六本調子で七穴の篠笛、地口・がんけ唄の唄い手と鉦
(すりがね)、鼓太鼓(大太鼓・小太鼓)の編成で、踊り手のみなさまを
盛り上げます。
さて、実際に踊りを練習する前に、まずは「音頭」と「がんけ」を
それぞれ踊っていただきました。スタジオ内が一気に盆踊り会場へと早がわり!
「音頭」と「がんけ」、まずはその踊りの違いを知るところからはじまります。
しなやかな手振りと、足さばき。流麗であり、パワフルでもあり…。
圧倒されていると、「観ている場合じゃないです!一緒に踊りましょう!」と
早速、全員での練習がはじまりました。
今回は優美な踊り、「音頭」の振り付けを教えていただくことに。
まずは、足の運びを練習します。
これを覚えれば、踊りの50~80%をマスターしたことになるそう(?)。
つづいて、足の運びに合わせた手振りを練習します。
むむむ、なかなか、むずかしそうです。
でもとっても楽しそう~。
一通り踊りを練習した後は、本番と同じように、輪になって全員で踊ります。
その日の踊りの一発目だけは、
「時勢はどうでも 世間はなんでも 踊りこ踊たんせ
日本開闢(かいびゃく) 天の岩戸も 踊りで夜が明けた」
との地口ではじまるのが慣例だそうですが、
唄い手の方によって西馬音内のことばでつづられる地口には
さまざまなバージョンがあるようで、即興的なものにもまた魅力があり
ずっと聴いていたいほどに面白かったです。
途中、笑いを誘うような地口が繰り返され、踊り手さんの中には
笑いそうになるのをこらえていらっしゃる方も見受けられました。
さすが囃し方のみなさま、盛り上げ上手!
そして、みなさま、ついさきほど習ったばかりとは思えないほど上手に、
何よりも、楽しまれて踊っていらっしゃいました。
最後に、愛好会のみなさまに「がんけ」を踊っていただきました。
注目すべきは、囃子の速度に合わせて踊り手の踊りも変化する、
囃し方と踊り手のかけあいです。
まさに、迫力の生舞台を観ているかのよう。
編み笠やひこさ頭巾をかぶらない状態で踊るのは、「少し恥ずかしい」そうで、
なるほど、盆踊りの踊り手が笠などで顔を隠す理由には諸説あるようですが、
顔を覆うことで外界からの視線を遮断し、踊りの世界の中へ
入り込むことができるのかもなあと思いました。
観ている者まで、幻想的なその世界へと誘われるかのようです。
今回のワークショップは、小学5年生から70代の方々まで
幅広い年齢層のみなさまにご参加いただきました。
(中には今年、実際に西馬音内の盆踊りに参加される方も!)
「とても楽しかった」との、たくさんの感想をいただきました!
日本の「民俗芸能」に触れる、大変貴重なひととき。
歴史や衣装、踊りや地口について知り、そして自ら実際に踊ってみることによって、
よりいっそう西馬音内の盆踊りの魅力に触れ、興味を深められたのではないでしょうか。
ご参加いただいたみなさま、そして西馬音内盆踊り愛好会のみなさま、
本当にありがとうございました!!
…いつかは現地で参加したいなあ~。
スタッフNS